インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!

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フェイク画像、ディープフェイク、誹謗中傷に戸惑う男性と複数の情報源で情報を確認する女性

POINT

令和6年能登半島地震の発災直後、SNS上では救助を求めたり、被害状況を知らせたりする多くの情報が発信された一方で、偽情報や誤情報(以下「偽・誤情報」といいます。)も流通・拡散されました。その結果、救命・救助活動に支障が出るなどの悪影響が生じました。偽・誤情報に惑わされないためには、情報の真偽を確かめることや情報の正確性が判断できない場合には安易に情報を投稿・拡散しないなど、日頃から注意して情報に接することが大切です。

1その情報は本当に真実?

例えば災害発生直後に、SNSで被災者を名乗る人が「動けません。助けてください」と救助を求める投稿をしているのを目にしたら、皆さんはどうしますか?
親切心から慌てて警察や消防に通報したり、投稿を拡散(シェア)したりしてしまうかもしれません。しかし、その投稿の内容は本当に真実なのでしょうか?投稿者は、本当に救助が必要なのでしょうか?

インターネット上で発信されている情報は、全てが真実とは限りません。人を混乱させるためにわざと発信されたウソの情報や、表示回数を増やし収入を得ることを目的として行っているとみられる投稿、勘違いによって流通・拡散された誤った情報もあります。そのため、情報の真偽を確かめることがとても重要です。確かめる方法は3章以降で具体的に説明します。

偽情報とは?
人を混乱させ惑わすために意図的・意識的に作られたウソ、虚偽の情報
誤情報とは?
勘違いや誤解により拡散された間違った情報

 

なお、偽・誤情報と似た言葉として、「フェイクニュース」という言葉もよく聞くかと思います。フェイクニュースは、現在、デマや陰謀論、プロパガンダ、ディープフェイクなど、様々な意味で使われています。このようにフェイクニュースは定義がまだ定まっていない曖昧な言葉のため、この記事では「偽・誤情報」という表現にしています。

なぜ惑わされてしまうの?

偽・誤情報は、「誰かに教えたい要素」(まだ誰も知らない、意外性があるなど、人に言いたくなるもの)や「感情に訴える要素」(願望・希望や、その人の正義感に訴えるもの)が多く含まれている場合があるため、共感・拡散されやすいのが特徴です。

誰かに教えたい要素と感情に訴える要素を表すイラスト

また、偽・誤情報に気付かなかった人は約75%、そのうち約20%から30%の人がその情報を信じて拡散させたという調査結果※注1があるなど、偽・誤情報は誰でも惑わされる可能性があります。さらに、偽・誤情報の拡散スピードはとても速く、真実・事実の6倍※注2ともいわれています。

  • ※注1:山口真一ほか(2019)「Innovation Nippon 2019 日本におけるフェイクニュースの実態と対処策」
  • ※注2:Science 6380号(2018年3月)

2偽・誤情報に惑わされたら、どうなる?

偽・誤情報が社会・経済の混乱やトラブル・事件の原因となることがあります。過去には新型コロナウイルス感染症の流行時に、「携帯電話の5G電波がコロナを広める」という偽・誤情報が拡散され、海外ではそれを信じた人々が携帯電話の基地局を破壊する事件も起きています。特に身近なトラブルとして、SNSなどへの投稿や拡散をきっかけに犯罪の疑いありとして逮捕された例や損害賠償責任が生じた例をご紹介します。

SNSでの偽・誤情報の投稿・拡散により罪に問われたり、損害賠償責任を負ったりする可能性も

インターネット上の偽・誤情報を信じて、特定の人物や出来事などの誤った情報の投稿をしたり、その投稿を流通・拡散させたりした場合、偽計業務妨害や詐欺の罪に問われる場合、また損害賠償責任を負う場合もあります。

例えば、平成28年(2016年)4月の熊本地震の際に、動物園からライオンが逃走しているという虚偽の文章と写真がSNS上に投稿され、動物園や警察に問合せが殺到したというケースがあり、投稿者は偽計業務妨害の容疑で逮捕されています。

また、あおり運転を受けた夫婦が死亡した交通事故について、起訴された被告が勤務していたというウソの内容が投稿された会社には、多くの非難や無言電話がかかり、一時的に休業せざるを得なくなりました。会社は情報投稿者や拡散した人を特定して訴訟を起こし、投稿者などに損害賠償を命じる判決も出されています。

3惑わされないためには?【基本編】

偽・誤情報に惑わされないために、インターネット上などで情報に接する際は次の四つの点をチェックするよう心掛けましょう。また、国、地方自治体などの行政機関や国際機関などの専門機関、新聞やテレビなどの報道機関やファクトチェック団体が発表している情報も参考にしてみることも大切です。ただし、チェックしてみても結局真偽が分からない情報や専門家ですら見解が異なる情報もあると思います。そういった情報の正確性が判断できない場合には安易に情報を投稿・拡散しないことが大切です。

偽・誤情報に惑わされないための基本のチェックポイント

  1. 情報源はある?
  2. 発信者はその分野の専門家?
  3. 他ではどう言われている?
  4. その画像は本物?

情報源はある?

  • その情報はどこから、いつ発信されたものですか?信用できますか?
  • 根拠となる情報は今も存在していますか?消えていませんか?
  • 情報源が海外のニュースや論文の場合、あなたはその情報源を確認、理解していますか?

発信者はその分野の専門家?

  • その情報は、専門知識や必要な資格を持った人が、責任を持って発信しているものですか?
  • その人は過去に偽・誤情報を発信して批判されていませんか?
  • その人は関連する情報や商品を売っていませんか?

他ではどう言われている?

  • その情報について他の人や他のメディアはどのように言っていますか?
  • その人の意見に反論している人はいませんか?
  • 別の内容で報じているメディアや、誤りであることを指摘しているメディアはありませんか?

その画像は本物?

  • 臨場感のある画像が添えられているから?それだけで「本当」だと判断して大丈夫ですか?
  • その画像を検索したら、全く同じ画像がヒットしませんか?
  • その画像は過去に撮影された、全く無関係のものではありませんか?

SNSで見た画像を画像検索した結果、同じ画像が複数ヒットしている様子を表すイラスト

4惑わされないためには?【応用編】

上記四つの基本を押さえたら、さらに次の四つのポイントにも注意して、その情報が偽・誤情報かどうかを確かめてみましょう。

応用のチェックポイント

  1. 「知り合いからの情報だから」だけで信じてない?
  2. 表やグラフも疑ってみた?
  3. その情報の動機は?
  4. 「ファクトチェック」の結果は?

「知り合いからの情報だから」だけで信じてない?

人間は、親しい関係の人から聞いた情報をより信じやすい傾向にあり、実はこれが偽・誤情報が拡散しやすい原因の一つになっています。家族や友人など親しい人から、本当かな?と少しでも思ってしまう情報を聞いたときは、すぐに信じることはせず、より慎重に対応・判断するようにしましょう。

表やグラフも疑ってみた?

表やグラフの中には、何の裏付けもなく作られたものや、情報発信者にとって都合のいい数字だけを良く見えるようにしているものがあります。表やグラフがあるからといってすぐに信じることはしないで、数字が正しくなっているか、出典元があるかどうかなど、よく確認するようにしましょう。

その情報を発信する動機は?

意図的な偽情報には、拡散させたい「動機」があります。「目立ちたい」「うわさやデマが広がると愉快」「表示回数を稼いで儲けたい」など「その情報で得をするのは誰か、そして、その情報で損をするのは誰か」という視点で冷静に情報を見直してみると、発信・拡散された動機が見えてくることがあります。

「ファクトチェック」の結果は?

「ファクトチェック」とは、ニュース報道や情報が「事実に基づいているか」を調査・検証して公表する活動のことです。国際的な認証を受けたファクトチェック団体、大手メディアやネットメディア、非営利組織などが実施している様々なファクトチェック活動があります。気になる情報が偽・誤情報かどうか、判断に迷ったときはそういったファクトチェック結果を参考にしてみるのもよいでしょう。

なお、世の中の情報は、“正しい”又は“間違っている”の二択ではありません。その情報の一部だけ間違っている・今は真偽が確認できないなど曖昧な状態の情報も多く存在しています。そのため、ファクトチェックを実施する各団体では、情報の正確さの指数としてファクトチェックレーティングを設けて客観的な判断を行うようにしています。

【コラム】
偽・誤情報に惑わされてしまうのは心理現象?AIなどの最新技術の影響?

偽・誤情報に惑わされてしまうのは、心理現象やインターネットで提供されるサービスの特性、最新技術などが影響している可能性もあります。

心理現象

人は信じたいものを信じる傾向があり、自分の願望や経験、思い込み、周囲の環境によって、無意識のうちに合理的ではない行動、偏った判断をすることがあります。これは「確証バイアス」と呼ばれる心理現象で、私たちの生活の様々な場面で起きています。また、誤りであると指摘されていることを知った後も誤情報を信じ続けたり、誤情報の影響を受け続ける現象(誤情報持続効果)、繰り返し同じ情報に接触することで、その情報が正しく感じられる現象(真実錯覚効果)等の心理現象も偽・誤情報の流通・拡散に影響を与えているとの見方もあります。

インターネット上で提供されるサービスの特性

「アテンションエコノミー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、情報過多の社会においては、供給される情報量に比して、私たちが支払えるアテンションないし消費時間が希少となるため、人々の関心や注目が経済的価値を持つとする考えかたです。情報の質よりも、それが人々の関心を引くかどうかが重視されるため、真偽の不確かな情報が流されやすい状況ともいえます。

また、インターネット上の情報が、個々のユーザーの関心や過去の検索履歴、閲覧履歴などに基づいて選択的に表示されるという「フィルターバブル」という現象もあります。フィルターバブルの中では、自分と似た考え・意見が多く集まり、反対のものは排除されるため、当事者はその状況に気付きにくいです。

さらに、同じ意見を持つ人々が集まり、自分たちの意見を強化し合うことで、自分の意見を間違いないものと信じ込み、多様な視点に触れることができなくなってしまう現象は「エコーチェンバー」と呼ばれており、上記のフィルターバブルとともに、偽・誤情報の流通・拡散の要因と指摘されています。

ディープフェイク動画

近年ではディープフェイクといって、アプリなどでAI技術を使って誰でも簡単に動画のねつ造ができてしまいます。技術の進化により、本物そっくりにできるため人の目では見抜くことが難しいのが現状です。

ディープフェイクの例

まとめ

私たちは誰もが偽・誤情報に惑わされる可能性があります。“自分は大丈夫”と安心している人ほど、惑わされやすいのです。

まずは、内容が分からなかったり、又は、誰かを傷つけたり、社会・経済を混乱等させたりする可能性がある情報なら拡散しないことが大切です。次に、情報を拡散しようと思ったときはいったん手を止めて、「間違いかもしれない。全く異なる情報が出ていないかな?」と確認するようにしましょう。

(取材協力:総務省 文責:政府広報オンライン)

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