空港での保安検査をスムーズに通過するために
POINT
飛行機に持ち込む手荷物などに、機内への持込みが禁止されている凶器や爆発物などの危険物がないかを確認するための保安検査。機内への持込みが制限されていることを知らず、ライター、ヘアアイロン、モバイルバッテリーなどの所持品が保安検査でやむを得ず放棄される事例が多く発生しています。そこで、保安検査をスムーズに通過するために、手荷物に関するルールや保安検査前・検査時のポイントをご紹介します。
1保安検査の目的は?
保安検査は、ハイジャックやテロなどの行為を未然に防止するために行っています。危険物に該当するもの(機内持込制限品)が機内に持ち込まれないように、乗客の皆さんの手荷物や身につけているものを検査します。保安検査は航空法に基づく検査であり、飛行機に乗る全ての人が受けなければなりません。保安検査を受けずに保安検査場より先に進んだ場合、航空法違反となり、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる場合があります。
2機内への持込みが制限されるものとは?
爆発・発火のおそれのあるものや、燃えやすいもの、有毒物質、凶器になり得るものなどの「危険物」は、航空法によって機内への持込みが禁止されています。危険物を機内に持ち込んだ場合は航空法違反により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
ただし、危険物の中には、刃物のように「凶器になり得るため機内には持ち込めないが、預け入れ手荷物として預けることが可能なもの」や、電子たばこのように「機内へ持ち込めるが、発火の危険性があるため預け入れ手荷物として預けられないもの」があります。
例えば、「預け入れ手荷物として預けることが可能なもの」には、ナイフ、ハサミ、先の尖ったもの、工具類などがあり、「機内へ持ち込むことが可能なもの」には、モバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホン、ライターなどがあります。
危険物の代表例 | 機内持込み | 預け入れ |
---|---|---|
ナイフ、ハサミ | × | ○ |
先の尖ったもの (ドライバーなど) |
× | ○ |
モバイルバッテリー | ○ (160Wh以下のみ可) |
× |
電子たばこ | ○ | × |
ワイヤレスイヤホン | ○ | × |
喫煙用ライター | ○ (1人1個まで) |
× |
スプレー缶類 (化粧品類、医薬品類を除く) |
× | × |
特に注意したいのは、危険物に該当する認識がないまま持ち込まれることが多い製品です。主な製品については次の項目で紹介します。
特に注意が必要なものは?
以下に示す製品については、危険物に該当する認識がないまま、機内に持ち込む手荷物に入れてしまったり、預け入れ手荷物に入れてしまったりする人が多いため、注意しましょう。
- ×:「機内持込み」、「預け入れ」のどちらもできない製品
- !:「預け入れ」はできるが「機内持込み」ができない製品、又は、「機内持込み」はできるが「預け入れ」ができない製品
電池内蔵のコードレスヘアアイロン
電池を内蔵する(電池が取り外せない)タイプのコードレスヘアアイロンは、不慮の動作により高温が生じ、火災に発展するおそれがあるため、航空機での輸送が禁止されています。そのため、機内に持ち込む手荷物、預け入れ手荷物のどちらにも含めることができません。
- ※ガス式
- 炭化水素ガスを充てんしたもので、アイロン部に安全カバーが取付けられたもののみ機内持込み・預け入れが可能。予備ガスカートリッジは機内持込み・預け入れ共に不可。
- ※電池式
- 熱が発生する部分と電池を分ける、もしくは同等の機能を有するフライトモードなどに設定した場合は機内持込み・預け入れが可能。取り外した電池がリチウムイオン電池の場合は機内持込みのみ可能(預け入れ不可)。
モバイルバッテリー
リチウムイオン電池は、衝撃や損傷などが原因で熱暴走が発生し、火災に至るおそれがあります。このため、モバイルバッテリーを預け入れ手荷物に含めることは禁止されています。必ず機内に持ち込む手荷物に含めてください。
なお、容量が100Whから160Wh以下の製品は1人2個までしか機内に持込みができません。
また、160Whを超える製品は機内への持込みも禁止されています。
液体物(国際線の場合)
国際線では液体物の機内持込みに量的制限が設けられています。100mℓ(g)を超える容器に入ったあらゆる液体物は機内への持込みが禁止されていますが、預け入れ手荷物として航空会社に預けることは可能です。液体物には、飲み物だけでなくシャンプーやヘアクリーム、ヨーグルトやレトルトカレーといったジェル状の物も含まれるため、特に注意が必要です。
100mℓ(g)以下の液体物を持ち込む場合は、容量1ℓ以下のジッパーの付いた再封可能な透明プラスチック製袋に入れてください。透明プラスチック製袋のサイズの目安は、縦20cm以下、横20cm以下になります。透明のプラスチック製袋に入っていない場合は持込みができません。
検査場で制限品が発見された場合は?
保安検査場で制限品が発見されたとき、出発まで時間がある場合は、預け入れ手荷物として航空会社のチェックインカウンターに預けたり、空港のロッカーに預けたりすることが可能です。しかし、出発まで時間がない場合や預け入れ手荷物にも入れてはいけない場合は保安検査場で放棄することとなり、その後、手元に戻ることはありません。
3知っておきたい保安検査前と検査時のポイント
保安検査をスムーズに通過するためには、危険物となるものを確認し、事前に正しく荷物を整理したり、検査の内容を事前に把握し、服装や身につけるものなどを工夫したりすることが重要です。ここでは、検査前と検査時におけるそれぞれの確認ポイントをご紹介します。
保安検査前のポイント
飛行機に乗る前には、次の点について確認しましょう。
- 飛行機に乗る前日などに、ナイフ、カッターなどの危険物が機内に持ち込む手荷物に入っていないかを確認する。もしそれらの危険物を移動先に持って行く場合は預け入れ手荷物に入れる。
- 「機内持込み」、「預け入れ」のどちらもできない危険物を空港に持っていかないように、荷物に入っていないか確認する。
- 多くの航空会社で、機内に持ち込む手荷物は、身の回り品のほか1人1個までとなっているため、それ以外の手荷物は航空会社のチェックインカウンターに預け、機内へ持ち込む手荷物は必要最低限にする。
- 空港に行くときは、なるべく貴金属やアクセサリー類、大きなバックルのベルトは身につけないようにする。
- 靴は、スニーカーやパンプスなど着脱しやすいものにする。
保安検査時のポイント
保安検査時は、次の点に留意しましょう。また、保安検査場では検査員の指示に従って検査を受けることが義務付けられているため、検査員の指示に必ず従ってください。
- コートやジャケットなどの上着や、ブーツなどのくるぶしを覆う靴は脱いで検査を行うため、上着検査、靴検査の対象となる物を身につけている場合は早めに脱いで準備する。
- 手荷物の中にPC・タブレット端末や飲み物などの液体物がある場合は、原則として鞄などから取り出す必要があるので、保安検査場の検査員の指示に従う。
- 検査時はスマートフォンや財布を取り出し、ポケットを空にする。
検査の詳しい手順については、以下の動画をご確認ください。
政府広報オンライン「【航空法改正】保安検査について規定されました!保安検査の受け方編」
まとめ
保安検査は、飛行機の安全を守るために必要な検査で、航空法に基づき飛行機に乗る全ての人が受けなければなりません。保安検査場が混んでいたり、保安検査場から出発ゲートまで移動に時間が掛かる場合があるので、空港には時間に余裕を持って行くようにしましょう。また、事前に手荷物の確認をして、保安検査をスムーズに通れるように準備しておきましょう。
(取材協力:国土交通省 文責:政府広報オンライン)