音声広報CD「明日への声」トラックナンバー2 vol.94(令和5年(2023年)11月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)


食べ物を介して体内に侵入した細菌やウイルスなどが原因で引き起こされる食中毒は、1年を通じて発生するため、常に注意が必要です。食中毒の種類や特徴、食品を安全に食べるためのポイントを紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:食中毒は暑い時期に多く発生しているイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?

A1:食中毒は、暑い時期だけに発生するわけではありません。「細菌」「ウイルス」「自然毒」「寄生虫」など、様々な原因によって引き起こされる食中毒は1年を通じて発生しており、食材の管理や調理には常に注意が必要です。

Q2:一年を通して気を付けなければならないのですね。

A2:はい。例えば、「カンピロバクター」やO157、O111などの「腸管出血性大腸菌」といった細菌の場合、高温多湿を好むことから、梅雨から残暑の頃にかけて増殖が活発になり、細菌による食中毒の発生が増えます。一方、気温が低く、空気が乾燥する冬は、細菌による食中毒は減りますが、「ノロウイルス」などのウイルスによる食中毒が発生しやすくなります。春や秋には、植物性自然毒と呼ばれる、野草やキノコなどの持つ毒成分による食中毒が多く報告されます。また、生鮮魚介類に寄生した「アニサキス」などの寄生虫による食中毒は、食中毒全体の発生件数に占める割合も多く、年間を通して発生しています。

Q3:発生件数が多かったり、特に問題となっている食中毒はありますか?

A3:特に注意が必要なのは、「カンピロバクター」、「腸管出血性大腸菌」、「アニサキス」による食中毒です。これらは肉や魚介類を原因とするものが多く、こどもや高齢者の重症化事例が見られるため特に注意が必要です。

Q4:カンピロバクターとは、どのような細菌なのですか?

A4:カンピロバクターは、鶏や牛などの家畜の腸管内にいる細菌です。生の鶏肉や牛肉の表面に付着しているほか、肝臓の内部にも存在しています。生肉に触れた手やまな板で野菜やほかの食品を調理したり、冷蔵庫の中で保管していた肉の汁が漏れて、ほかの食品に付着したりすると、二次汚染が起こります。菌が体内に入ると1日から7日くらいで、発熱や腹痛、下痢、吐き気などの症状が現れます。

Q5:わりと身近にある細菌なのですね。O157、O111などの腸管出血性大腸菌はどのようなものなのでしょうか?

A5:腸管出血性大腸菌は牛の糞などを介して牛肉やその他の食品などに付着したり、井戸水などを汚染します。少量の菌からでも感染するため、手指や調理器具などからの二次汚染にも注意が必要です。菌が付いた食品を食べたり、汚染された井戸水を飲んだりすると、2日から7日くらいで、発熱や激しい腹痛、水溶性の下痢、血便、吐き気、おう吐などの症状が現れます。抵抗力の弱いこどもや妊婦、高齢者は特に重い症状になりやすく、注意が必要です。

Q6:とても怖い細菌ですね。万が一、家族に感染者が出た場合はどうすればよいでしょうか?

A6:感染者と同じ飲食物を摂取した人や、同居する家族などが感染していないかどうか診断を受けることが必要です。同時に、家の中も必要な範囲で消毒を行いましょう。また、二次感染予防のために、日常生活で感染者への接しかたについての知識を得て実行することが大切です。分からないことがあれば保健所へ問い合わせてください。

Q7カンピロバクターや腸管出血性大腸菌などの細菌は肉類が原因で食中毒を引き起こす可能性がありますが、お肉を調理するときや、食べるときに気を付けた方が良いことはありますか?

A7:カンピロバクターや腸管出血性大腸菌などの細菌は、もともと家畜の腸管内にいる細菌なので、肉に付着する菌をゼロにすることは非常に困難です。ただし、これらの病因物質は、熱に弱いという特徴があります。したがって、十分加熱して食べれば、食中毒を防ぐことができます。目安は、肉の中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。食中毒を防ぐためには、生肉や加熱が不十分な肉の料理は食べないことが重要です。

Q8:分かりました。では、アニサキスはどのようなものなのでしょうか?

A8:アニサキスは寄生虫の一種で、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に幼虫が寄生します。アニサキス幼虫は、長さは2から3センチ、幅は0.5から1ミリほどで、白色の少し太い糸のような形状をしています。アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べることで、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺さり、食中毒を引き起こします。多くは急性胃アニサキス症で、食後数時間から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、吐き気、おう吐などの症状が現れます。

Q9:アニサキスによる食中毒を防ぐために、魚介類を調理するときや、食べるときにどのようなことに気を付けたら良いでしょうか?

A9:アニサキスによる食中毒を予防するには、加熱又は冷凍処理が有効です。加熱の場合は60℃なら1分、70℃以上であれば瞬時にアニサキス幼虫が死滅します。冷凍の場合は、-20℃で24時間以上の冷凍で死滅します。また、魚介類を刺身などで生食する場合は、アニサキス幼虫が寄生していないか、目視で確認し、取り除くことが対策の基本となりますが、魚を購入するときは新鮮な魚を選ぶこと、丸ごと1匹で購入したときは速やかに内臓を取り除くことも重要です。内臓は生で食べないでください。

(エンディング:女性ナレーター)

食中毒の原因になる細菌や寄生虫などは、私たちの身近に存在しています。家庭での食中毒を防ぐのは、食材を選び、調理する皆さん自身です。魚や肉を安全に食べるためのポイントを理解し、予防を心掛けましょう。厚生労働省のホームページでは様々な情報を提供しています。詳しくは、「厚生労働省 食中毒」で検索してみてください。

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