あれから100年 関東大震災が教えてくれること

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ラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection

毎年9月1日は「防災の日」。首都圏に甚大な被害をもたらし、そして近代日本の災害対策の出発点となった「関東大震災」の発生日です。今年は発生から100年。大地震のリスクに直面する私たちとして、改めて関東大震災を知り、学ぶことが重要です。番組では、当時の状況を深掘りし、防災、そして語り継ぐ大切さを考えます。また、防災イベント「ぼうさいこくたい」もご紹介!多数のユニークな出展が!ザブトンで大地震を体験!?

ゲスト

内閣府 政策統括官 (防災担当)付
参事官(普及啓発・連携担当)付
研修員 前田宰

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和5年(2023年)8月27日
再生時間
19分29秒
配信終了予定日
令和6年(2024年)8月26日

文字で読む

青木
日本を襲った大規模な震災というと、足立さんは何を思い出しますか?
足立
私の場合は、東日本大震災と阪神・淡路大震災です。東日本大震災と阪神・淡路大震災については、ドラマで関わることがあって当時のことを改めて学びました。関東大震災については、勉強したんですが、詳しくは知らないですね。
青木
そうですよね。関東大震災が発生したのは1923年、大正12年。戦前ですし、今から100年前のことです。今では当時のことを記憶しているかたも少ないと思います。ただ、関東大震災は、近代日本の首都圏に甚大な被害をもたらした、日本の災害史において特筆すべき災害です。その発生日である9月1日が「防災の日」と定められているように、近代日本における災害対策の出発点となっているんです。
足立
9月1日は、今度の金曜日、もうすぐですね。
青木
そこで、今日は改めて関東大震災はどういう災害だったのかを知り、そこから学びを得ようと思っているんです。ここからは、内閣府の政策統括官防災担当の前田宰さんと深掘りしていきます。前田さん、関東大震災というと東京を襲った大地震で、火事により東京が大炎上したと記憶しているかたが多いと思います。でもそれは、関東大震災による被害のほんの一部を語っているにすぎないそうですね。
前田
はい。関東大震災による死者・行方不明者の数はおよそ10万5,000人です。そのうちの6割に当たるおよそ6万6,000人が東京の火災で亡くなっているため、東京を襲った大地震という印象が強いのだと思います。
足立
でも、それだけじゃないということは、前田さん、関東大震災はどのような地震だったんですか?
前田
はい。関東大震災は、首都直下型地震と思われがちですが、実は相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9と推定される地震です。
青木
推定というのは、実はこのとき、ほとんどの地震計が壊れたので当時の記録があまり残っていないんですよね。
前田
はい。そのため、倒壊した建物の割合から当時の震度を推計したところ、最も大きい震度7の揺れが、最も多くの地域で推計されたのは、神奈川県でした。続いて千葉県南部、静岡県、埼玉県の一部でも震度6強から7の揺れが発生したことが推計されています。
足立
あれ?東京はどうだったんですか?
前田
東京で震度7の揺れが推計されなかったわけではないんですが、下町や山手線内側の一部を除くと、現在の都心の大部分は震度5弱ないし5強だったんです。
足立
東京よりも神奈川や千葉のほうが揺れたんですね。では、東京以外の地域ではどのような被害が発生したんですか?
前田
神奈川県ではおよそ6万戸の住宅が全壊し、下敷きになり圧死したかたがおよそ6,000人もいました。また、震源のすぐ上には箱根や丹沢など中山間地があり、土砂災害により多数の死者が発生しました。特に現在の小田原市では、山が崩壊し山津波、いわゆる土石流が発生し、400名以上が亡くなっています。
青木
足立さん、実は、関東大震災は津波もあったんですよ。
足立
そうなんですか?
青木
震源が相模湾北西部であったことから、伊豆半島、伊豆大島、三浦半島、房総半島の海岸に津波が押し寄せ、伊豆大島や静岡県熱海市では、最大12メートルの津波が発生しました。神奈川県小田原市の根府川地域では、白糸川の河口付近で遊んでいた児童約20人が、海からの津波と白糸川からの山津波に挟み打ちに合い、ほぼ全員が行方不明となりました。
前田
関東大震災の津波被害はあまり知られていませんが、実は死者・行方不明者が300名を超えると推定され、1993年の北海道南西沖地震の230名を上回るほどだったんです。
青木
ただ一方で、適切な避難行動で津波による死者を出さなかった地域もあるんです。宇佐美村、現在の伊東市では、1703年に発生した元禄地震の際、津波によって人口1,200名のうち、4分の1のおよそ300名が亡くなりました。この不幸な出来事を、この村では親から子へ、そして、孫へと代々語り継ぎ、地震が発生したら、直ちに海から遠く、高い所へ避難するように伝えていたんです。そのため、関東大震災では、津波が村を襲い大きな被害があったにも関わらず、一人の死者も出しませんでした。
足立
やっぱり、地震の教訓を語り継いでいくって、とっても大切なことなんですね。では、東京は火災により亡くなってしまったかたが多かったということですが、どういう状況からそのようになってしまったのでしょうか?前田さん、関東大震災により東京で発生した火災について教えてください。
前田
関東大震災の発生は土曜日の午前11時58分。ちょうどお昼時で調理している家庭も多かったことから、火元は134か所もありました。その一部は大規模な火災となり、9月3日午前10時まで、46時間にわたり延焼が続きました。震災と同時に断水も起こったため、思うような消火活動ができなかったことも延焼を招いた要因の一つです。
足立
ほぼ2日間ということですよね。主に東京のどの辺りで火災が広がったんですか?
前田
現在の中央区日本橋、京橋、台東区浅草、墨田区本所、千代田区神田、江東区深川、これらの地域では、ほとんどの市街地が焼失しています。
足立
東京で火災により亡くなったかたは6万6,000人でしたよね。そんなにも多くのかたが逃げ遅れてしまったのが印象的なんですが。
青木
足立さん、火災で亡くなったと聞くと、逃げ遅れたんだと思いますよね。でも実は、逃げ遅れただけでなく、避難場所で火災にのまれ亡くなったかたも大勢いるんです。火災発生後、多くのかたは上野公園や現在の皇居前広場、靖国神社など比較的広い空間に避難しました。ところが、墨田区の旧陸軍被服廠跡地、現在の横網町公園に避難した方々は、この避難場所で火災旋風により亡くなっているんです。その数、およそ4万人です。
足立
4万人も!?火災旋風って何ですか?
前田
火災旋風というのは、火災による竜巻状の渦で、人や物を吹き飛ばしたり、強い風により急速な延焼を引き起こす現象です。東京で目撃された旋風は、被服廠跡を襲った旋風以外にも110個、横浜や小田原などでも発生しました。
足立
聞けば聞くほど、関東大震災の被害の規模ってものすごく大きかったんだと分かりますね。
青木
そうですよね。とても怖いことですけれども、ただ、怖がっているだけではいけませんよね。日本は首都直下地震や南海トラフ地震など、大規模な災害が起こるリスクに直面している国ですから、次に起こる自然災害に備えて対策を講じなければいけません。実際、日本は過去の大震災を契機として、様々な対策をしてきていますよね。
前田
はい。例えば、関東大震災で火災が広がってしまったことを教訓として、火災の跡地はできるだけ区画を整理し、幅の広い道を造りました。現在の昭和通りや靖国通りの道幅が広いのは、火災による延焼を食い止める目的があるんです。
足立
そうだったんですね。幅の広い道路という認識でいましたが、そこにも教訓が生かされているんですね。
前田
また、関東大震災では揺れにより倒壊したビルがある一方で、ほとんど無傷で揺れに耐えたビルがありました。このことから、建物の耐震設計の大切さが分かり、法令で、「地震力」、つまり地震によって建物に働く力の規定が世界で初めて制定され、これが今の建築基準法に受け継がれました。その後、1978年の宮城県沖地震を契機として、1981年に耐震基準を強化しましたが、阪神・淡路大震災では、その耐震基準を満たしていない建物に被害が集中しました。このため、同震災後、耐震診断や耐震改修のための法整備や支援措置が講じられることになったんです。
足立
つまり、大地震が起こるたびに学びを得て、地震による揺れから命を守るための新しい法律を作ってきたんですね。
青木
そうなんです。でも、それだけでは地震の揺れに対する備えは万全ではありません。建物が揺れに耐えても、家の中の家具が倒れたら怪我をする恐れがあります。だから、家具を固定する必要があるんです。
足立
人任せだけではなく、私たちも対策をしなければいけませんよね。この番組でも昨年9月に、家具の転倒防止対策を取り上げましたよね。詳しくは番組ホームページのアーカイブで音声を聴くことができるので、是非、そちらを聴いて対策していただきたいですね。
前田
はい。また、関東大震災に関しては、「関東大震災100年」という内閣府の特設ページがあります。こちらをご覧になっていただくと、関東大震災と阪神・淡路大震災、東日本大震災の被害状況が数字で一目で分かる資料が見られます。また関東大震災の映像が見られるサイトなど、関連サイトのアドレスがリンクされているので、是非、こうしたサイトをご覧になっていただき関東大震災について理解を深めていただけたらと思います。
青木
前田さん、9月には日本最大級の防災イベントも開催されるんですよね。
前田
はい。9月17日(日曜)と18日(月曜・祝日)に、「防災推進国民大会」略して「ぼうさいこくたい2023」が開催されます。「ぼうさいこくたい」は、私たち一人ひとりの防災意識を高めたり、災害に関する知識や経験を共有したり、防災に取り組む方々の連携を図ることを目的に開催されているイベントで、今年で8回目になります。今年は関東大震災から100年ということもあり、関東大震災の震源地である神奈川県にある横浜国立大学で開催します。
足立
具体的にはどんなことが行われるんですか?
前田
はい。今年のテーマは「次の100年への備え〜過去に学び、次世代へつなぐ〜」であり、およそ400の防災に関わる団体が横浜に集合し、セッションやワークショップなどを開催します。
青木
東日本大震災で実際に被災したグランドピアノの展示などもあるそうですね。
前田
そうなんです。宮城県七ヶ浜で津波にのまれ、傷だらけになりながらも奇跡的に原形を留めたピアノです。その名も「ローラ」です。調律は不可能とまで言われましたが、はるばる横浜の修理工房に辿り着き、音色を取り戻すことができたとのことです。その実物が展示されます。演奏もできるそうですよ。ほかにユニークな出展として、「ザブトン教授の防災教室」などがあります。
青木
「ザブトン教授の防災教室」では、「地震ザブトン」という椅子型の装置により、東日本大震災など、過去に発生した大地震の揺れを体験することができます。今回のこくたいでは、新たに関東大震災級の地震を想定した揺れを体験できるよう、準備しているとのことです。
足立
実際に体験すると、揺れの大きさなどが分かって、家具を固定するなど、地震に備えることの大切さをリアルに感じることができそうですね。
前田
イベントへの入場・参加は無料ですから、是非たくさんのかたに「ぼうさいこくたい」に参加いただき、過去の震災から多くのことを学んでいただければと思います。一部オンラインでも配信予定です。詳しくは「ぼうさいこくたい2023」のホームページでご確認ください。また、内閣府の「関東大震災100年」特設ページで関東大震災を振り返り、改めて、地震に備えることの大切さを知り、日頃の防災対策に役立てていただければと思います。
足立
今日の話を聞いて、全然知らないことがあったということも、すごく勉強になったんですが、やっぱり、こういう地震が起きたときは、地震の教訓を語り継いでいくことが、とても大切なんだなと思いました。過去に起きたことで学べることってたくさんあると思うので、知っていくというのは大切だなと思いました。
青木
私も足立さんと同じく、「知っておく」という部分において、関東大震災は津波もあったというところが印象に残りました。やはり、火災による被害が大きかったというイメージがありますが、でも、震源が相模湾北西部であったことから津波も発生していて、亡くなったかたが300名を超えると推定されているということです。こういったことも、しっかりと語り継いでいかないといけないなと思いました。

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